スタァライトのキラめきに目を焼かれた結果、公開期間を1週間短く勘違いしてました。晴れ牛乳です。

 毎年リバイバルされる神映画『劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト』を今年も見てきました。毎回新鮮な発見と疑問が湧いてくるとんでもない映画ですが、そもそも頭空っぽで見ても死ぬほど面白いというのが大前提なんですよね。4年くらい前に書いた感想が未だにちょいちょい読まれると言えばこの映画の持つ魅力が多少なりともお分かりいただけるのではないかと思います。

 今回は前回の感想で書いていなかった部分、具体的には最初のレヴューまでの話をしようと思います。レヴューの感想が見たい方はこちらの記事をどうぞ。



(以下、ネタバレ注意)


















































進路相談

 私たちはもう舞台の上。『劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト』の始まりですね。九九組が一人ずつ進路相談を受けるシーンですが、この後の皆殺しのレヴューから察するに全員が抱えている問題点のようなものがあるのではないか、という視点で考えてみました。

 最初は天堂真矢。いきなり例外で申し訳ありませんが、彼女だけは皆殺しのレヴューでも殺されていないことからわかるようにこれと言って目立った問題点はありません。舞台少女として次の舞台を新国立第一歌劇団と定めて進む意志を語っています。しゃべりすぎに該当するような素振りもなく、流石は空っぽな神の器を自覚しているだけはありますね。

 続いて西條クロディーヌ。彼女は主催に誘われたことをきっかけにフランスの名門『テアトル・ドゥ・フランム』に入団することを決めます。一見問題なさそうに見えますが、自らが選んだ進路ではなく誘われたから入った、とも考えられます。この時点で彼女は天堂真矢とのレヴューに満足しているので、情熱の赴くままにという言葉とは裏腹に自らで次の舞台を決める意思がないのではないかと思いました。大場ななポイント-1ですね。

 次は露崎まひる。神楽ひかり被害者の会の筆頭ですね。正直個人的には彼女はセーフだろと思わなくもないのですが、被害者の会の一員として神楽ひかりに物申していない点が減点対象だったのでしょうか。新入生に対して説明する際に、バトンの扱いに慣れているはずの彼女が指示棒を落としてしまっているところからケリをつけていないと思われたのでしょう。厳しいですね。

 続いて花柳香子。彼女もこの時点では実はセーフだと思っています。きちんと次の舞台を見据えて、そこに立つ覚悟を決めています。ただ一点、この時の彼女はまだ双葉が新国立を目指すことを知らないのだと思います。なぜなら、怨みのレヴュー前にも関わらず京都に帰ることに一切迷いが無いからです。知っていたならあんなに良い顔で次の舞台を語れるわけがありませんからね。

 そして石動双葉。最初から最後まで減点しかないです。話すべきとわかっていながら香子に新国立を目指していることを伏せているからです。確かに幼馴染のお世話をずっと続けていた彼女がこの時点でワガママを言うのは確かに難しいかもしれません。それでも次の舞台に進む理由を他者を使うのは流石に数え役満でしょう。

 お次は大場なな。迷っていますね。彼女は監督なので減点とかそういうのではないんですよね。自分で自分の良くないところを自覚しているので、わざわざここでいうこともないです。なのでこれは余談なんですが、皆殺しのレヴューまでの映像って彼女が決めているのでしょうか?星見純奈さんのシーンだけやけに湿度を感じるのは気のせいでしょうかね?

 話題の星見純奈さんはエルドラドのワンシーンから始まります。他人の言葉から力を貰う彼女らしく、舞台のセリフがそのまま彼女の内面を表しているようにも聞こえます。次の舞台を定めず大海原に出るというのは彼女なりの道なのでしょうが、監督は許してくれないみたいです。監督の目を焼いたのも彼女自身なので、自業自得ですね。自覚が無いのがかわいそうですが。

 最後は愛城華恋。神楽ひかり被害者の会名誉会長です。わかりやすく自分の言葉で話していませんね。新入生の案内役をしている時からですが、一言も愛城華恋としてのセリフがありません。アレハンドロのセリフは彼女自身の心の底からの声にも聞こえますが、あの場面ではあくまでアレハンドロ役としてのセリフです。失礼しましたも、生徒としてのセリフであり、彼女自身のセリフではありません。この辺りは本当に徹底してますね。

 ところ変わってロンドンにいる元凶神楽ひかり。なんか遠くを見つめてセリフを語っていますが、観客もいないところで勝手に愛城華恋と別れるためのレヴューを行い、そのまま逃走しているんですよね。物理的に大海原に出て逃げるのは一周回って感嘆ものですが、シンプルにやってることが情けない。キリンの口車に簡単に乗せられてるのも次の舞台に向かえてない証拠なのでしょうね。ちなみにキリンは「共演者は舞台へ」としか言ってないので嘘は言ってないんですよね。わかります。



談話室

 まひるの質問メモを見て「多くない?」と指摘するクロディーヌですが、そもそも新国立にあまり興味のないクロディーヌからすれば誰だってそう見えるでしょう。新国立を次の舞台とするまひる達を茶化すような口ぶりからしてやはり周りの事にそれほど興味が無いのでしょうね。談話室から大きな声が聞こえても向かったりしていないですし。

 双葉の大声にまひるが駆けつけてみると、恐らく香子が双葉の進路希望を知ったことで荒れに荒れた結果、ふてくされて新国立行きを急遽キャンセルするために暴れまわっている場面だったのだろうと思います。新国立のことをしょーもないと言っていますが、そりゃ大事な幼馴染を奪うような劇団などしょーもないでしょう。まあ、心の底から思っているわけではないというのは、天堂真矢のセリフに被せたところからも明らかです。わかってますんや、そんなことってやつですね。

 その後もオーディションを引き合いに出して周囲にドン引きされます。わかりやすく詭弁ですね。ここでしゃべりすぎてしまったばかりに大減点を喰らいました。やっぱり双葉が悪いんじゃん。最後はクロディーヌに対しても当たろうとしてあまりのしょーもなさに何も言えなくなってしまいました。別にこの時クロディーヌは一言も話してませんし、何なら口元すら映っていません。映像の作り方が巧すぎますね。

 ちなみに、大場なな監督はしゃべりすぎな九九組の皆さんにご立腹なようです。ベランダに出た瞬間に声が遠くなったり、洗濯物を回収した後も部屋に戻ろうとしていないあたり、その内心がうかがえて怖いですね。



電車の中

 皆殺しのレヴューの直前のシーンですが、新国立目指す組が楽しくお話しするところから始まります。ここでも天堂真矢は評論家のポーズで役になりきってます。徹底してますね。クロディーヌは相変わらず周りに興味が無いので純奈にも無責任に新国立を勧めます。一歩間違えていたら監督の怒りを買いそうな場面でヒヤヒヤしましたが、それ以上に純奈が地雷を踏みぬいたのでセーフでした。いやまあ総合的に見てアウトなのは変わらないのですけど。

 そして、ライバルだったはずの天堂真矢「くらい」にはなれるなんて発言が飛び出しましたが、これに天堂真矢が反応してましたね。さっきまで評論家の役になってましたが、クロディーヌの言葉に思わず素が出てしまったのでしょう。そして、素に戻った真矢とクロディーヌの会話が一気にガヤとして処理されてます。いや本当によくできてますよ、これ。監督の本気が伝わってきます。この後はブチギレた監督による皆殺しの始まりです。



 思い出しながらざっくりと書き出しただけでもこれだけ要素が拾えるので、もっとちゃんと考えたら色々と見つかるのかもしれませんが、とりあえず今はこのくらいにしておきます。細かいところまで伏線がきちんと張られていて、気が付くたびに声が出そうになるのを必死に抑えてました。
 これからもリバイバルの度にこういったことを楽しめると思うと最高の気分です。まだ十数回、たぶん二十回もは見てないと思うので味のする限り楽しんでいきたいと思います。皆さんも良き劇スライフを。

 それでは~